視覚障害者と高麗手指鍼
電話がありました。
「高麗手指鍼を習いたいのですが?」
日本にいる韓国人で国籍のことはわかりません。
「私視覚障害者なのですが、高麗手指鍼を習いたいのです」
伝統的な鍼なら体を探ってツボを決め、鍼治療は可能です。
学校で先生が「ツボを探すのは、視覚障害者の方が上手かもしれない」と言っていたのを思い出しました。
「高麗手指鍼は決まったとツボに刺すのと、ツボを指で探り当てることができないので、障害があると出来ません。」
「あなたはどのような資格をもって仕事をしているんですか?」
「鍼・灸・マッサージ師の資格です」
「あなたは、あんまとマッサージ師の区別つきますか」
「?」
「あんまは気を使う手技で、マッサージは体液を心臓に戻してやる手技ですよ。気を使うからヒビぐらいの骨折なら、手でつけることができるのですよ。」
「知りませんでした」
「あなたはいま東京から移転して行ったのは、営業のことがあるのじゃない。」
「そうです。」
「高麗手指鍼を学べば現状打開を図れると考えるものがいると思うけれど、難病まで治せないと日本の鍼灸界で生き残って行くことは難しいですよ。それよりあんまを習いなさい」
ということになりました。
気を習得すれば一段階上の、というより真の按摩師になれるのです。
あんまを鍼師や灸師のしたに見る傾向があるのですが、トップクラスになれば井上良太先生や私のように骨折まで治せるようになります。
先日ニューヨークヤンキースのキャプテン、デレク・ジーター選手のインタビューがありました。
松井選手もイチロー選手も一目置いている選手です。
昨年左足首をプレー中に骨折し、シーズン当初から復帰すると思ったら、ほかの箇所も骨折していたというわけで会見が開かれたということでした。
見たこともない疲れた顔で、顔全体にまいったなあという感じが広がっていました。
このような時にあんま師がトレーナーにいたなら、今頃ははつらつとしたプレーが見られているはずです。
日本のあんま師は素晴らしい技術があるのです。
ただしその高みに昇には至難の業らしく、井上良太先生も「このような技ができるのは、日本でも5人ほどだろう」と仰っていました。
心臓から指先にもんでいくのがあんま、その逆がマッサージ師だという定義は、表面的な事から言われている区別なのです。
日本には世界に冠たる技術はごまんとありますが、あんまもその一つなのです。
「あんまの技術は教えられないが、これを習得すればお客さんはひっきりなしに来ますよ」
卒業してなんとか楽な(本当は違うのだけれど)鍼に切り替えようとするのだけれど、鍼は良い先生に弟子入りしなければ技術は学べません。
何時かわと思いながら60の定年を迎え、体力が続かいないと辞めていくのが多いと聞きました。
どんな商売も今は大変ですが、王道を行けばなんとかなるのでしょうか。
意外とあんまも海外進出したりして。