リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

NHK「病気の起源」と「アイスマン」を見て


 アイスマンと呼ばれる氷漬けになった、5000年前のヨーロッパ人が発見された。

驚くべきは東洋の鍼灸で使われる「ツボ」に当たるところに、刺青のような印がありました。

ヨーロッパで鍼灸治療を行っている医師が興奮したように、5000年前のヨーロッパにも鍼治療があったのかもと話していました。

「そんな馬鹿な!」

ここに石田秀実著「中国医学思想史〜もう一つの医学」が有ります。

東洋医学の原典に「黄帝内経」が有ります。

内の文字のないが現代の内科の元になっているのです。

そこで外科の外経がはずだと思われていました。今でもそのような考え方はされているようです。

楊貴妃で有名な秦の始皇帝が行った、焚書坑儒ですべての文献は焼き捨てられた。そう考えられていた。

しかし黄帝内経は台湾の故宮博物館と仁和寺に蔵書があり、おそらくこれが原典に一番近いと思われて復元されたのです。

外経はおそらくなかったのでは?

石田教授の推則は文化から医療を読み解きます。

内科はその土地の文化を背景にしていないと行えない医療である。

これに対し外科というのは突然異文化から移入されたとしても、その時から行われるそのぐらいの差があるのだ。

古代中国でも外科手術を得意とした医師がいて、大いに活躍していたが忽然として消えてしまった。

文献の欠片もない。

このことと医師の素性が推測されていて、おそらくこの医師たちは外科手術が進んでいたトルコ人ではなかったかということです。

さてここで件のアイスマンにつながります。

トルコから中国まで医者が来たのなら、中国からスイス辺のヨーロッパに、中国人鍼灸師がいたとしても地理的な疑問は起きない。

アイスマンのツボについては、ヨーロッパに鍼治療があったことの証明にはならないということです。

この判断がNHKの断定したことでないことを信じていますが。

次に「病気の起源 第2集 脳卒中 〜早すぎた進化の代償〜」も、見ていてなんかおかしいと感じました。

脳が猿人からの進化に伴って巨大化した。

「脳の血管は驚くほど長くなり、大量の血液が流れるようになった。しかし、脳血管の壁は進化しなかったため、その脆弱さが脳卒中を引き起こす原因となっているのである。そして人類は、6万年前以降、

新たな脳卒中のリスクに直面することになった。長年暮らしていたアフリカを離れ、食生活を変えたことで、血管に大きなダメージを与える事態に陥っていたのだ。」

アフリカの原住民の血圧と、日本人の同世代の平均血圧を比較している。

道具の進化とともに脳は発達し、頭を使うことで血流を多くしないとそれに対応できなくなてきた、そこで血圧を上げてきたのである。

一見してそうかなと思うのだが、この件に関しては単純に証明はできないはずである。

なぜなら血圧のコントロールは未だできていないし、なぜ血圧が上がってしまうのかも解明されていない、従って根本から治療する薬はない。

道具を使わない人間は、狩りをするのに多く歩き多く獲物を囲い込まなければならない。

道具を使えば例えばライフルを使えば、何十メーター離れていても獲物を倒せる。

あまり体を動かさなくても目的は達成できる。

また仕事としての狩人は、商売などのストレス商業まで配慮するようになる。

自分の家族を養うだけの食物を取る、原始人と文明人を比較することは意味がない。

簡単に脳が肥大化し血管が長く伸び、それに比べ血管自体の進化がなかった。

このことが脳卒中の原因だ!と牽強付会(初めて使ったヨ)に結論に持ってきている。

第一血管の進化って何だ?

そもそも血管はその距離を延長させているわけであり、なにか取り残された未発達の器官みたいに扱っている。

血管がかわいそうじゃないですか。

血管の進化ってなんなんでしょうか?

食事の変化と言っても、戦後に成長期を迎えた方たちの血管は、栄養が足りなかったので血管自体が貧弱な作りになってしまった。

飽食と言われる現代の方が血管作りには良い環境なのである。

成長に従って動物性蛋白の摂り過ぎで、様々な成人病と言われるものの中に血管も障害されている。

黄帝内経の最初に黄帝と岐白が問答をはじめるところが有ります。

「昔の人は200歳まで生きたというのに、なぜ今は早死にするのだ」

「それは昔の人は日が昇るとともに起き、日が暮れると眠り規則正しい生活をしていたのです。今は夜ふかしをし、暴飲暴食セックスのし過ぎをしています。そこで早死するのです」

中国医学では500年前には確実に糖尿病は理解しており、原因症状その対策もわかっていました。

道具が発達し脳が巨大化し進化しているのに、脳血管がそれについていけないのではなく、人間の生活全般が過度のストレスを精神と肉体の両面に与えるようになった。

そう考えたい。なぜなら人間の進化には必ずそれに伴って、進化やフェイルセーフのシステムを備えているはずだからです。

免疫も新潟大学安保徹教授が世界初で発見した胸腺外T細胞免疫が最初にあり、進化とともに胸腺由来T細胞免疫が出来上がったということです。

そのほかに顆粒球やマクロファージなどの免疫が備わっているのです。

血管が進化しなかったというのは腑に落ちない結論です。

それよりも進化する必要のないものなのです。

さらに東洋医学では外因として環境の変化も上げるのですが、そのことの変動も加味しなければこの議論は進まない。

血管がもし進化するとしてもそれ以上に取り巻く環境の急激な変化に、人間は血管を含めて身体が対応できていない。

その防御として高血圧が起こり、破綻した先に脳溢血があると私は考えるのです。

この先NHKスペシャルがどのような内容を提供してくれるかに大変興味を覚えます。



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