リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

競馬で知る社会のシステム

競馬というと寺山修二の小説に出てくるような、飲み屋のサブちゃんとかが出てくる世界を思い出される方が多いかも知れません。

でも実際はそれとはかけ離れたところで、競馬というギャンブルは運営されているのです。

就職して3年目、その年の有馬記念を制しました。

これで競馬を極めたと思った翌年、正月3日に行われる日経新春杯金杯」から負け続けました。

競馬ファンには「金杯」で乾杯、とダジャレのように言われるレースで、ここからその年のレーすが始まるのです。

これは「どげんかせんといかん」と頭に浮かんだのが、学生の頃隣のサラリーマンが読んでいた、数字が羅列していた競馬新聞「トータラーザー」でした。

早速新宿の本社に行き、「勝馬推理のセオリー」を見せてもらいました。技術士 東条貞義 著 定価25000円でした。

ページを開くと、統計数字、確率論、仕事率、ポワッソン分布だとか、私の不得手な数学物理学の用語が一杯詰まっていました。

それと出版時2万円で500部限定、残り50部で値上げです。聞けばこれも管理!した値上げということです。

給料が5万円前後のときの半分になります。また1レースかけても3千円に対して、2万5千円の価格はコストパフォーマンス的には?頭の中をかけめぐりました。

結局購入し仕方なく統計学の本を勉強し直しました。モノにはなりませんでしたが。

技術士という資格慶応工学部出身の同級生に聞くと、相当難しいらしいです。

内容が難しいのでセミナー付きでした。これが本当に面白く様々なことで役に立ち、私の社会への視点そのものも変わり視野も広がりました。

面白かった事のひとつに、偏差値があります。

我々団塊の世代から始まった、偏差値教育のあの偏差値です。

競馬にもこれが適用できるのです。

競走馬全体の偏差値も取れますが、レースに出てくる馬も偏差値通りに並べれば、おわんを伏せた形の正弦曲線を描けるそうなのです。

偏差値50は真ん中ですね。偏差値75ぐらいがトップでしょうか。

母集団の質が高ければ、75あれば東大もパスするのでしょうか。

確率的には右に行くほど高くなります。馬なら優勝馬と言いたいところですが、そういかないのが競馬の仕組みです。

左右例えば偏差値60と偏差値40の優勝確率は同じなのです。

そうならないとファンの予想が外れて、あっと驚く結果を作り出せなくなるのだそうです。

クラスのマドンナが恋するのが常に秀才とは限らず、たまには出来の悪い落ちこぼれであったという例えはいかがでしょうか。勉強が出来てもできなくても、恋の確率は同じと言うことです。

会社でも同じ学校出身で同じような成績の者を揃えると、やがて沈滞化して会社が劣化してしまうのと同じと考えてもいいかもしれません。

様々な能力要素を持っている馬を集めているので、競馬というショーが運営されるのです。

ここで計算された偏差値の中身がどのようであるのかはわかりません。

視点を変えてある数値だけで図れば、弱いと見なされた馬でもそのレースでは高かったのかも知れません。

野球偏差値や相撲偏差値と呼ばれるものがあるように、見方を変えれば一般社会が考えるより、その人間に与えられるポイントが高いこともあるのです。

東条先生はその頃気象庁を辞められて、民間の気象予報会社を運営されていました。

当時の気象庁の週間予測よりはるかに的中していました。

先生はどうしてアメリカ軍が勝利したのか、東大を出たあと戦後GHQに通い調べたら、ゲームの理論を使って戦術をねっていたのを知って、これでは勝てなかったのも当然と納得されたそうです。

その後気象庁で江戸時代からのデータを入力し、コンピューターで気象予測を始めたそうです。

頃は良しと退職し民間予報会社を設立しようとしたところ、当時の大臣により作られた法律で自由に営業できなくされてしまったそうです。

そこで手を差し伸べたのが「トータラーザー社」の社長でした。トウタライーザー社も、オッズ予想を真似され苦境にあり、ここで両者の出会いがあったわけです。

最初の結晶が「勝馬推理のセオリー」というわけでした。