リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

近藤誠医師の「ガン論文」で思うこと その8

 慶応大学医学部講師 近藤誠さんの「あなたの癌は、がんもどき」梧桐書院刊 を読みながら癌について考えてみます。

「あなたの癌は、がんもどき」梧桐書院
http://www.gotoshoin.com/cat33/post-136.html


その前に一連の論文・記事を整理中に、週刊文春12月30日、1月6日新年合併号で、静岡県立静岡がん研究センター総長 山口健 さんとジャーナリスト立花隆さんの対談を見逃していましたので、
これを検証してみます。

文芸春秋
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/

週間現代
http://kodansha.cplaza.ne.jp/wgendai/article/backnumber/backnum_shakai.html

このがんセンターは病院としても、画期的ではないでしょうか。緩和病棟が併設されていて、一連の治療が終了するとがんに限らず今の病院は強制的に退院させられてしまいますが、ここではがん治療後にがん緩和施設へ移ることができるのです。

医療費削減を机上の計算だけで行っている日本の医療行政から、今の病院は一定の処置が終了したら患者を追い出す仕組みになっています。

それは元をただすと病院側にも非はあるわけで、入院すると患者を薬漬けにして薬価でもうけていた時代があったわけです。

それで薬価を切り下げられたら、今度は検査漬けが始まったのです。

ケースワーカーを始めた時ビックリしました。入院患者がそれこそブーメランみたいに、1年から2年ぐらいすると元の病院に戻ってくるのです。

3か月しかその病院にはいられないのです。なぜかと言うと、検査は終了したし薬では儲からない。そこで規定があるのでしょうね、3か月いると次の系列の病院へ転院となるのです。

ぐるぐる。グルグルまるでメリーゴーラウンドです。東京ドームでは最近ここから落下して死亡したことがありましたね。

もちろん患者にも一端の原因はあります。その多くが当時言われていたのですが、「社会的入院」と言うものです。家に戻っても、誰も世話をする者がいない。

家族が多くは老齢の患者の受け取り拒否をするので、入院が長引くと言うことになってしまうのです。

日本の行政の未熟さ、いい加減さがすべてのところに歪が出ていたのです。

最近も京都の方で破産した病院の院長が、必要のない心臓血管のステント手術を、生活保護患者にしていたと問題になりました。弱者はいつでも被害者の面があります。

東欧圏の医者などは、アメリカの医者などのように、破格の給料をもらっているわけではありません。一つの職業にすぎないみたいです。

医師でタレントの女性が言っていましたけれど、大病院の駐車場には高額な車ほど病院に近いところを陣取るそうです。

或る患者さんが言ってらっしゃいました。「先生、近くの医者は門から診療室玄関まで、少し道を歩くんですよ。その横にガレージがあって、スーパーカーが止まっているんです。自慢げにです。でも近所のものは誰もそこへは行きません。なんで稼いでいるか、みんな知っているからです。」

自家用車が軽自動車の医者なんて見たことないですよね。

勤務医は厳しいみたいですけど、開業医のイメージは「美人妻・豪邸・ベンツ」じゃないですか?

患者側に立って行う医療と言うものが、日本には少ないのが現実です。

「あの病院の裏には薬袋の山ができている」「お腹がいっぱいになって10種類も薬を飲めないと言ったら、おばあちゃんあの患者さんは13種類も飲んでるのよと事務員に怒られた」「病院の治療法にいやだと言ったら、出て行けと言われた」等々。

この静岡がんセンターはそういう意味で、画期的なところではないでしょうか。

お二人の対談に戻りましょう。

抗がん剤の延命効果について」と問いに対し 再発・転移を起こした患者には、平均1,2カ月から1年までの延命効果が期待できる。短期の効果しか延命効果はない。または抗がん剤は延命効果が無いと言う近藤医師の主張はうなずけます。

抗がん剤の効果について」 これは患者に投与してみないと、効果や副作用などは分からない。副作用で苦しみ、感染症などで早く命を落としてしまうこともある。

「患者の余命予測について」専門医でも平均でこれぐらい程度の予測しか建てられない。

「ご自身はがんになることを考えてますか?に答えて」  がんセンターのトップが、がんで命を落とすのはまずい(笑)病院で全部調べていますが、たぶん8割はみつかると思いますが、残りの2割はダメでしょう。そこは神頼み。

歴代のがん研究所所長が、がんで死んでいることをご存じの発言かも知れません。

でもとても「がん治療」の現状を真摯にまた肩に力を入れず語られていると思いませんか?

近藤医師に批判記事を載せている医師たちが、自分たちの職場を荒らされたような感じでいるのに対し、とても好感が持てます。

西洋医学の「がん治療」はまだそこまでしか、またそこまで来たと言うのが読者には理解できるところです。

この記事を読まれて、文芸春秋週刊文春週刊現代の「抗がん剤は効かない」の論文記事を読み直すと、また視点がハッキリしてくると思います。是非再読されてみてはいかがでしょう。