近藤誠医師の「がん論文」で思うこと その9
「あなたの癌は、がんもどき」梧桐書院 刊
http://www.gotoshoin.com/cat33/post-136.html
第四章「無治療と言う選択」放置データから見えるもの
この章を中心に考えを進めてみましょう。
その前に本日(2月10日)ヤフーニュースに次のような記事が載りました。
「初期乳がん、リンパ節の広い切除は効果疑問」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110210-00000399-yom-sci
「初期の乳がん患者に行われる、わきの下のリンパ節を広く切除する手術は、必ずしも必要でないとする調査結果を米カリフォルニア秀の医師らがまとめ、9日、米医師会雑誌(JAMA)に発表した。
乳がん治療では腫瘍に近いセンチネルリンパ節に転移が見られた場合、拡大を防ぐため、周囲のリンパ節も切除する方法が一般的である。・・患者891人中リンパ節10個以上切除445人と、切除しなかったグループ446人に分け、6年間経過観察した。・・結果5年後の生存率や再発率に差はなかった。参加者はいずれも初期の患者で、乳がん摘出手術、放射線治療医などを受けた。」
がん患者のデータを取ることは、他の疾患に比べても難しい面が多々あるようです。なぜなら昔習ったのは、がん細胞が2ミリになるのにおよそ25年経過する。それが2センチになるのに半年もかからない。
このことがあるのでしょう、近藤医師は上記の例などを見る時は、転移が生じた出現した時に意味があるのではなく、転移が出現しなかった時に意味がある。とおっしゃっています。
近藤医師の理論では「がん」が他の臓器に転移があるか否かで、「本物のがん」と「がんもどき」とに分けます。血液の癌はこの理論から省き、胃、肺、大腸、前立腺、子宮に発生するものを「固形がんと」します。
まず最初は「胃がん」患者の放置例を検討しています。
ここで驚いたのが、早期胃がんと進行がんの混在したグラフで、免疫療法と抗がん剤処方を受けた患者が、放置患者に比べはるかに生存率が低いと言うことです。
以前何かで読みましたが、アメリカではすでに免疫療法は効果なしとして、全く見向きもされないと言うことでした。
しかしこのグラフは1989年現在のデータをもとにしているのですが、免疫療法は今でもよく目にする文字ですよね。
もう20年以上前だったと思いますが、新潟大学で手術ができない上顎洞(上あごの中のがん)癌患者に、自分の血液を取り出してリンパ球を培養して戻してやる。その結果劇的に収縮したと、確か日本テレビのニュースで放映されました。
画期的だなと見ていたのですが、その後何の話題もないので成果は上がっていないと思っていました。
思い出すのは広島カープの投手「炎のストッパー」と呼ばれた、津田恒美投手のことです。
津田恒美
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%A5%E7%94%B0%E6%81%92%E5%AE%9F
脳腫瘍が発見されて、確か九州の方の病院の方へ入院し治療されたが、結局鬼籍に入られました。
人から聞いたのは、ここでも上記の例のようなことをしていたそうです。リンパ液を採取して、確か漢方薬でそれを1カ月ほどかけて培養し、身体に戻すと言うことでした。
近藤医師は「欧米では犯罪扱いの免疫療法」と236ページで書き、なぜ免疫療法がだめなのかを解説しています。
これは偶然に見た、NHK教育テレビの番組でした。
世田谷に住む主婦が肺がんを患い「免疫療法」を1年受けたそうです。費用は300万円。「こんなにかけたのに、がんが全く縮小も消えてもいないと泣いていました。
番組ではその「免疫療法」の主催者にインタビューをします。
するとこのような答えが返ってきました。「これほど酷い肺がんが、大きくなっていないのは喜ぶべきことだ。」(何ら文句を言われる筋合いはない。と言っているように聞こえました。)
私のところに病院の治療方針が合わず退院させられ、免疫療法を受けるまでの1カ月間何もしないよりもと、治療に来られた患者さんがいました。
残念な結果になってしまいましたが、その時話されていたのが1月の費用が20万円と言うことでした。
でもそれは安い方で、年間1千万円の例もあるそうです。
しかし今は大学病院の研究室レベルでのものになっていると近藤医師は書かれていますが、ネットでは様々な免疫療法が載っていますね。
「免疫療法」ウィキぺディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%99%82%E6%B3%95
さて患者が問題とすべきは、「胃がん」になったらどうすべきかでしょう。グラフを見る限りでは、手術や免疫療法は受けない方が良いように見えます。
引き続き「大腸がん」の問題を考えてみましょう。ここでの問題はポリープです。
以前週刊文春紙上で近藤医師が、「ポリープはがんにならない」と発表したことがあります。
それで私も患者さんにこのことを伝えていたのです。しかし健康診断でポリープを見つけられ、医師に切除を言われればよほどのことが無いと、患者さんは断りきれません。
それで手術に踏み切ったところ、腸に穴をあけられて3週間も入院したそうです。「先生の言うことを聞いておけばよかった。」とおっしゃっていました。
1万分の1ぐらいの失敗例だそうですが、そのような事故も生じる可能性も潜んでいるのが、手術でもあるわけです。
ホリープの手術は良くテレビで目にしますが、素人目にも簡単に見えるのでつい医師の勧めに従ってしまうのでしょうね。