リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

手のひら先生の高麗手指鍼講座の準備 その4


鍼灸師が独り立ちできる方法に「弟子入り」があります。

伝統的な鍼では、弟子入りをすることが一つの要件でした。「治せる鍼灸師」になる早道で有ったわけです。

ところがこの世界は弟子入りをしようとしても、「はてどこに自分の師たりえる人がいらっしゃるのか」ここから始めなければならないのです。

医師がレベルアップを図ろうとすれば、文献を読んだり書籍や論文など、膨大な情報があります。自らの進むべき方向を定めたなら、その道のトップへ近づけば良いはずです。簡単とは言えなくても、少なくとも進路は明確でしょう。

鍼灸師になるには、学校に入るのも楽、国家資格を取るのも普通に学んでいれば取れる。でも卒業してからどのようなステップを踏んで行けば良いのかが、在学中から準備しておかなければ途方に暮れてしまいます。自分で探さなければなりません。

ではこの先生ならと決めても、その先生が弟子入りを許してくれるかという大問題が控えています。治せる先生が、患者も多いとは限らないからです。では多くの患者さんを見ている先生が治せるかと言うと、必ずしもそうでないのがこの世界なのです。

いま1つ、弟子入りをさせてくれ立派な先生のところには、すでに弟子候補はたくさんいるはずです。いきなり訪問して「弟子入り」がかなうほど甘くはありません。

東洋医学では最大の問題「脈診の伝授」があります。感覚を教えてもらうということはとても難しく、身に着けば貴重な財産になりうるのです。これは従業員になると、これは教えてもらえないという問題もまた横たわっています。従業員に教えると、その時点で止めてしまうので教えないのです。多くの努力と犠牲を払って習得した秘密を、

給料を払った上に教えてそれで止められてしまう、そんな危険は経営者は犯しません。

なかなか難しい世界なのです。

ではセミナーはどうでしょうか。何十人もいる生徒の一人であるあなたは、おそらく大事な感覚をそこで学ぶことはかなわないと悟るはずです。

私が学生の時参加したセミナーには、「セミナーおたく」見たいな方が何人もいました。セミナーを梯子したとしても、治せる技術も身に付かず思い切って開業する自信もつきません。

高麗手指鍼は感覚の習得部分は少ないので、セミナーを受ければ治療は可能になります。しかし腰痛肩こり程度の治療方法を教えてもらっても、それでは既存の鍼灸の世界の中で生き残っていくことはできません。それはいまだこの技術が日本で普及していかないことが、そのことを証明しているのです。

そのようなことがないように、心していかなければと思うのです。