リウマチの原因が解明される
1昨年脳溢血を発症してからもう17ヶ月経ちました。
この間ヤフーがグーグルが検索エンジンを使うことになり、すっかりホームページ「リウマチ相談室」が検索されなくなりました。
ところが本日リウマチ新患が見えました。
それも近くの市内在住の方です。当院は近隣の方は珍しく、ほとんど都内や他県からの患者さんです。
さてこのリウマチ、現代医学では長らく原因不明とされていましたが、どうやら特定されそうです。
昨日NHK3チャンネルの番組、サイエンスゼロを見ました。「免疫を支える!驚異の腸内細菌」です。
番組ではがんを認識するヘルパーT細胞に取り付いて、その働きを抑制するTreg細胞を取り上げていました。
免疫抑制細胞と呼ばれるらしいです。この細胞が増える元になるのが、腸内細菌の働きによるとのことです。
腸内細菌相互の働きによって、免疫が保たれている。自己免疫疾患全てに関係するだろうと言うことでした。
鍼灸では明治から大正にかけて活躍された、澤田健という名鍼灸師がいらっしゃいました。
彼は「リウマチは小腸に熱があるから起こるのだ」と100年も前に断定し、リウマチをお灸と整体でなおしていました。
それがどうも証明されたみたいなのです。
ではなぜその治療が現代まで継承されなかったのか?鍼灸の問題にも突き当たることですが。
澤田健の治療見学記をまとめたものが「鍼灸真髄」です。著者は代田文誌。
彼はこれを書いて澤田健と共に自分も有名になったと言われていて、後にこれ真似た手法を取るものが出たようです。
この中に「小腸兪」というツボにお灸をすることのみが強調され、現代に続いているのです。
なぜ伝わらないかと考えると、代田文誌が治療の真髄を知るレベルになかったことにあります。
鍼灸師の治療を見学しても、何をやっているのかわかりません。
どのツボに鍼を刺しているかを見たって、そこに真の治療はありません。
彼はそこが分からなかったので書けなかったのでしょう。
うがった見方をすれば、営業上敢えて書かなかったとも思います。しかし彼の著作の通り治療したが、治せたと言う鍼灸師の声を聞いたことがないので、やはり真髄を理解できなかったのでしょう。
以前オーリングテストセミナーに参加したとき、隣の女性が話しかけてきました。奈良病院の女医と名乗っていました。初めて参加するので何かと質問してきました。
老人をみたいのでその病棟に移ったところ、リウマチ患者が多かった。そこで働いていた鍼灸師に聞いたところ、小腸兪のお灸が良いと聞いて行なったが治らなかった。
そりゃ治らないですよ!私は治せるけれど。
それを聞いて「教えてくれないのか?」と言ってきたので、簡単には教えられないと答えた。
見た目鍼灸は誰にでも簡単に見える。
ところが実技に入るとあれほど本で見て頭に入っていたツボに、0.2ミリの鍼を正確に刺そうとすると、それは太平洋に一本の鍼を指すように思えたのです。
それとツボの運用理論、気の問題等々、海面の下の氷山部分のごとく深く大きな要素が沈んでいるのです。
彼女は怒っていました。日本の教育の悪いところ、世間知らずの結果でしょう。
なんでも聞けば教えてくれる、待っていれば与えてくれると思っているのでしょうね。
辞めて5年ほど経ったときに市役所に行きました。友人を待っていると、顔見知りの人がやって来ました。
「いまどうしているの? 鍼灸の仕事はどう」と聞いてきたので、「リウマチの患者さんが来てくれています」
「エッ!それどこで習ったの?どの先生に習ったの?」としつこく聞いてくるので、「リウマチを治せる鍼灸師などいない。自分で考えたんですよ」
それでもしつこく質問を繰り返すので、「頭がいいから治せるんだよ」と言ったら、彼は憤慨して何処かへ行ってしまいました。
想像力の定義、フランスの哲学者ガストン・バシュラール「想像力とは全く新しいものを生み出す力ではなく、既存の概念を少しひねる能力である」の言葉のように、既存の知識を組み合わせればリウマチにも対処出来るのです。
東洋医学というのは知れば知るほど面白く、例えば肺の機能など2000年も昔前に分かっていたわけです。
天の清気を取り入れてすなわち酸素を肺に入れて(ガス交換)、脾(今の膵臓)で取り入れた地の気(すなわち食物エネルギ‐)と一緒にして、生きるための糧にすると書かれています。
西洋医学で解明されたのはやっと100年前のことです。
最も理論的には誤りもあるわけですが、掘り起こせば宝ものが埋もれているはずです。
現代社会で澤田健が取り上げられることはないでしょうが、少なくとも鍼灸に携わる者にとっては忘れてはいけないことだと思った次第です。