スーパードクター福島孝徳さんの訴訟について思う
身体の不思議すばらしい人体
http://www4.ocn.ne.jp/~hoeikai/karada.html
人間の細胞は60兆個 毎日15兆個が死滅再生しているそうです。
これほどの細胞数が有機的に繋がっているわけです。
それが一部でも壊れると、病気と言う状態になるわけです。
それを外科的に治療する、中でも福島考徳医師はマスコミで取り上げられ、スーパードクターとも称されていました。
その医師が訴訟を起こされているそうです。
手術ミス、「神の手」医師に1億円損賠求め提訴
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110414-OYT1T00182.htm
医療事故やミスによる訴訟は、我々医師でないものにとって難しい問題です。
特に福島医師は脳神経外科と言う、外科でも難しい科目をあつかっています。
その上スーパードクターと言われるくらい、その患者たちは外では手術不可能と言われたような、難しい症例ばかりのようです。
ですからこの件について2チャンネルでは、賛否両論交わされているのもうなずけます。
2チャンネル
http://pirori2ch.com/archives/1509153.html
第1回目の口頭弁論で、手術ミスを認めたそうです。だが死亡との因果関係は認めなかったそうです。
そもそも西洋医学で治せるのは、病気全体の20パーセントと聞いています。
原因はこれ、治療はこの方法、その結果こういう経過をたどって完治する。そう言えるものは20パーセントと言うことです。
外科はその部分を切除したりすれば手術的には完治となるので、技術の巧緻で評価が出てくるのでしょうか。
内科のスーパードクターと言うのは、ほとんど聞いたことがありません。
私も昨年母を亡くしたので、出来得るならこのような素晴らしいドクターに見て欲しかったという気持ちはあります。
でもどのような治療でも、危険性はあります。
昔は医師はほとんど訴えられることは無かったようです。
ですからいまは無謀とも言える、ロボトミー手術などが昔は行われていました。
一方情報化社会で医師もテレビ出演などが多くなり、ややもするとマスコミのペースに乗ってしまうきらいが無いとも言えません。
一般視聴者はそれを見れば、やはり期待してしまうでしょう。「神の手を持つ」とも称されれば、なおさらです。
ご本人は意図するところではないと言ってもです。
あるセミナーに参加した時気がいたことですが、その教授は一般的には日が当らない専門分野でした。
しかしマスコミに登場してから、あらゆるところで取り上げられ講演されるようになりました。
そのセミナーそのものは良かったのですが、「先生利用されているな」と感じたものでした。
基礎医学が専門の教授に結果を求めている聴衆が、質疑応答を始めるとかみ合わなくなって来たからです。
治療を行っている場の状況と我々が求めている現実が、マスコミを通すと期待度に大きなギャプが生じてしまうのでしょう。
少し前産婦人科を目指す学生が少なくなって問題になりました。出産はとても危険性を伴うものなのに、一般にはそれが認識されていない。
その結果、訴訟になりがちになる。
それらが嫌われて産科医が増えない原因になっている。それで最近政府が賠償補助制度を作ったのは耳新しいことでした。
西洋医学は進歩しているか?
検査方法や原因解明については、進歩はしています。検査機器や手術機器については目覚ましいものがあります。
でも全体としてはそれほど進歩していないと言うのが現実ではないでしょうか。
がん治療についてはここ20年ほどほとんど進歩していないと言えます。
つまり医療従事者レベルとマスコミを通して認識する、我々の「医療レベル」認識のギャップが、大きすぎるのが今の現実です。そこに様々な問題が生じるのでしょう。
翻って自ら行う鍼灸治療についても、病院で解決できない難病と言われる患者さんを見る時は、すべての方を完治に導くことは出来ないことを考えます。
近藤医師の一連の論文を読んで分かったことですが、医療の状況を医師の方でも情報開示を怠っていると言うことでした。
医療のレベル現実が一般のレベルで良く認識される、そのことがこれからは求められることになるのでしょう。
そのことが過度の期待を抱かないで、現実を直視出来ることになるはずです。
鍼灸では昔の言葉に、「10人の患者のうち6人を治せれるのは下工、8人なら中工、9人治せれば上工と呼ばれる」があります。
確かそれ以上は神と呼ばれると記憶しています。
100パーセントの治療は昔から無かったと言うことです。
ただし10人中9人治す上工になる努力はしなくてはなりませんが。
この度のニュースでそのようなことを改めて思いました。