リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

週刊誌のがん治療レポート

 最近またぞろという感じもありますが、「最新がん治療」レポートが載ります。

週刊新潮4月5日号『無認可でも画期的な「がん治療」』〜国立大学が臨床に着手に限定

2年ほど前、慶応大学講師近藤誠さんの「あなたのがんは、がんもどき」が出版されて大きな話題になりました。

最近でも社会福祉法人老人ホーム「同和園」附属診療所所長、中村仁一医師が上梓された「大往生したけりゃ医療とかかわるな 「自然死」のすすめ」があります。

帯には、死ぬのは「がん」に限る。ただし、治療はせずに。とあります。

意外とがんは突然死にはならず、死ぬまでの期間身辺整理の余裕があり、心臓病や脳溢血などより人にとってはタチの良い疾患かもしれないそうです。

問題なのはがんで死ぬのが、本当にがんが原因で死ぬのか、それとも抗ガン剤による副作用で死ぬかということなのです。

近藤医師の本が出たあと、このことについてはかなり抗がん剤の副作用について、認識が広まったようでした。

医師の間では認識されていたことが、一般人にも知られることになったということです。

現在は早期発見早期治療が叫ばれていて、まだどうなるかもわからない早期のがんまで切除されています。

しかし上記の先生方の論を読めば、果たして真性のがんがどの程度あるのか、死に至る病としてのがんがどの程度あるのか、ほとんど検証されていないのです。

それより切除を契機としてがんが転移したり、副作用で死ぬ確率が高いようなのです。

そのような認識の中で、研究中のがん治療が週刊誌で紹介されたわけです。

私もがんについては興味があるのでいろいろな情報を集めていますが、未だがんそのものがどのようなものであるという結論は、西洋医学にはないようなのです。

そのような中で様々な治療法がアメリカから伝わり、また医学以外の療法に分類されるものが輸入されて来ました。

その一つにサメの軟骨がありました。今がんに効くという謳い文句は無くなりましたが、これなど最初からインチキだったのです。

始めは子牛の軟骨ががんが成長するとき、毛細血管を肥大させて栄養を取り込む。その血管を収縮させる働きがあるという論文を、サメの軟骨に変えて大儲けをしたのが真相でした。

そのことが日本で広く知れ渡ったのはまだ最近のことでした。

免疫療法という言葉の下に日本に入ってきた治療法も、アメリカでは既に効果のないインチキと断定されていると聞きます。

こんな知識を持って記事を丹念に読み検証していると、センセーショナルな表題に比べ、疑問符のつく結論に至ります。

1、数字が実証!抗がん剤入り温水で内蔵を直接ジャブジャブ洗う

 これは一昔前盛んに行われ効果がなかった温熱化学療法を踏襲しているものです。日本胃癌学会・笹子三津留理事長はこのことを指摘し、既に結論がでた治療法であることを批判しています。

2、免疫療法を革命的に変えた「がんペプチドワクチン

  ここでも免疫療法は「科学的実証がなく、今では懐疑的な意見が多い。」という文章があり、さらに「がんペプチドワクチンには2種類あり、そのひとつは有効性はないことが分かった。その一方はこれか  ら研究するということである。
  この記事の最後のまとめとして、人情論が出てきて驚きます。西洋医学ではがん治療に人情論はいらないと思うのだが。読む限りこの治療法はまだ信頼に足るものではなく、そもそも記事にするじょうほ  うかちがないものであることがわかる。

3、「鉄キレート剤」が進行中の肝臓がんを劇的に止める

  アメリカの「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディソン」という権威ある雑誌に論文が掲載されたそうです。治療結果としては10人中3人は進行が止まり、2人は縮小しその一人は転移した肺が  んも消失したそうです。従来からある薬で副作用もなさそうで、唯一難点はがん治療に使うには自費ということです。あと効果は50%と言うことでしょうか。

4、抗がん剤を充填した「ナノカプセル」はトロイの木馬

  がんを標的に抗がん剤を届ける方法は、昔から行われてきた。それをナノテクノロジーを使ってより効率的に、抗がん剤を届けようというものなのです。ただ届ける抗がん剤は既存の副作用の大きいもの  であるし、近藤医師が指摘ように結局は薬は全身に周り排泄されるのです。

 週刊現代4月14日号にも「がんワクチン」の記事がのりましたが、これはNHK番組が発端のようです。

 マスコミは医師が研究発表をすれば取り付きますが、よく読めばまだ誰もが信頼できるほどのものではないことがわかります。

 まだまだ最新治療については詳細に検討すべきことが多いように思います。

 また思うに、これらは根本原因治療ではないので、一旦消失したがんも再発に怯える日々は続きます。

 早くがんのメカニズムが解明されることを期待します。