手のひらのツボの研究 その2
故高橋晄正氏をご存知でしょうか?
そのむかしグロンサンはいんちきだとか、アリナミンは効果がないなどと発表し、マスコミで取り上げられて大騒ぎになったことがあります。
人間真実を語るのは勇気がいることで、氏は最後まで東大講師のままで定年になられたようでした。
数年前縁あって韓国で氏の「漢方は効かない」の版権を取得したいということで、仲介をさせていただきました。
初めての経験でもあり権利関係は微妙なところがあり大変でしたが、出版社の協力を得て何とか韓国で出版する運びとなりました。
その結果世界で一番漢方薬を飲んでいたといわれる韓国人が、漢方薬は効かないんだと知ってしまいました。
ソウルには漢方医が集まっている一角がありますが、そこの3分の2がいなくなったそうです。
彼が本で分析したのは従来から言われていた瞑眩についてです。
瞑眩は漢方薬に付随するもので、これが出れば早く治るサインと言われていました。
彼は様々な資料から統計分析し、瞑眩は副作用と言う判断をしたのです。
漢方界は大騒ぎになったようで、今でも彼のことは良く思っていない関係者はいますね。
しかし私もその説を読むと納得するもので、今では漢方界でも瞑眩は副作用と認識されています。
鍼灸師になる前20年以上漢方界の泰斗の先生方に診ていただいたことがあります。
治らなかったのですがどなたの処方でも瞑眩などありませんでした。
瞑眩を起こすのは藪医者なのでしょう。
もっとも漢方はこの副作用を起こすことで、身体が驚いて治癒力が働き結果病気が治るのだという説もあります。
さて彼は東洋医学はこじ付けみたいなものが、治療理論の基礎になっていると批判しています。
漢方薬を気って捨て返す刀で東洋医学そのものの批判もしていました。
ここを読んでいたときちょっと見当違いだなと感じました。もちろん自分に関係することを批判されれば、誰にも起きあの感情も湧いてきました。(笑い)
東洋医学を実践したことがないものが批判をするとき、根拠のない空想やこじつけと陰陽五行論を批判します。
しかし実際治療に入ればこれが正しい理論と理解できるのです。ここが微妙で難しいところなのでしょうね。
誰も最初は素人同然ですがこの理論のとおり治療して患者が治っていくことで、自信と確信がもてるようになるのです。
本の字ずらを見ながら理論的におかしい、空想の産物だと言ってもそれは遠吠えのような物にすぎないのです。
竹山晋一郎氏が西洋医師の批判に対し「君たちも東洋医学をもっと学んでから批判しろ」と言ったのは至言なのです。
手のひらのツボを新しい観点から見直し、神経や脳神経との関係をツボをプロットしていく中で、実は中国人たちも神経と言うものを文字や言葉には表さなくても、気という中に表現していたと確信するに至ったのです。
ただ十年一日のごとく古典だ黄帝内経だと念仏を唱えているだけでは、鍼灸の進歩はありません。
次世紀までには消滅してしまいます。