生活保護とケースワーカー その1 生活保護世帯の中身
生活保護受給者が200万世帯以上になって世間を騒がせています。
中にはスケープゴートのように、漫才師の次長課長河本準一さんが槍玉に上がったりしています。
片山さつき議員などマスコミ受けを習ったのか、このことを国会で質問し、やぶへびみたいに自分が攻撃を受けてしまいました。
元夫の舛添要一議員が、かつて週刊文春紙上でお姉さんが生活保護を受けていることから、そちらを攻撃しろとのとばっちりまで受けたのです。
そもそも根本原因は経済が長期にわたり低迷し、為替管理がしっかりとしない、政府の無為無策からきたものに他ならないものなのです。
人間の性として自らの境遇が危うくなるとき、その矛先は必ず弱者に向かうのです。
そもそも生活保護制度は、憲法で定められた最低限の生活を保障し、命を補償してくれる大事なフェイルセイフなのです。
私がケースワーカーをしていたのは20年以上前なので、そのときの基準と比較しても、これが安楽な生活を保障しているとは思えません。
検索すれば生活保護基準は簡単に出てきます。
一人世帯で60歳以上としても、その保護基準は8万円で住居費を入れても13万円前後です。
フリーターとか就職ができない若者が多いのはたしかでしょう。
しかし多くの受給者は高齢者であり、未来という貴重な時間はそう残されているわけではありません。
問題は稼動年齢なのに仕事がないと言うことです。
これはもう個人の問題でなく、政府の経済政策の失敗です。
その数字を引いて検証すれば、本来の困窮需給世帯の実態はそれほど変化はないはずです。
私がケースワーカーをしていたとき、需給世帯は3つほどに大別されました。
母子家庭、老齢世帯、精神疾患を抱えている若者 の世帯がほとんどでした。
暴力団関係者が受給していることはありませんでした。
不正受給もいくつかありましたが、最初の相談から不正申請を見抜くことは難しく、需給後ケースワーカーの実態調査で判明し、そこで停止になったことはあります。
それもマスコミに取り上げられるような、暴力団関係者がぞろぞろいるなどということはありませんでした。
警官一人が犯罪を犯すと警察組織全体が非難されるような論調になるのと似ていますが、個別事例が全体を現すわけではありません。
さて20年前は食費は3万円、光熱水費は4万円でした。いまはそれより1万円増えたようです。
やりくりすれば一ヶ月3万円の食費は多いでしょうか?
一日1000円で三食をまかなうということです。
外食はできませんね。そのころもラーメンは500円ぐらいしてましたから、自分でもこの金額は厳しいなと思いました。
光熱水費は食費より多いので、これを食費に回したりするのかも知れません。
そうすると今度は夏の冷房、冬の暖房がとても厳しくなります。手当ては別に支給されますが、一日中ぬくぬくと暮すことはできません。
住居費は4万円でした。
そのころこの金額で部屋はなかなか見つかりませんでした。
今は5万円と基準があがったのとネットで見る限り物件は増えて入居しやすいように見えますが、その多くは若者向け単身者世帯向けです。
入居時に老人世帯は拒否されてしまうことが多いのです。
火の始末に不安があるので、昔も今もなかなか適当なアパートを見つけることは難しい。
生活保護が快適な生活を保障すると言うかと言えばそれはノーなのです。
普通に生活している方なら、おそらく耐えられないでしょう。
異常な状況に陥ったとき救ってくれる最後の砦、それが生活保護なのです。
今の自分の状況が不安定といってもまだがんばれるでしょ!未来はないですか?
あなたにはまだ余裕が残っているはずです。
下を見て非難やいじめるのではなく、常に上を見て夢を持ってがんばりましょうや。
私の体験したケースワーカーの世界をこれから語りましょう。