リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

近藤誠医師の「がん論文」で思うこと その10

 著書「あなたの癌は、がんもどき」梧桐書院 刊 
[近藤誠医師の「がん論文」で思うこと その10:title=http://www.gotoshoin.com/cat33/post-136.html]

第四章 無治療と言う選択を読んで思うことは、がんになったとしてもそれほど慌てることはないと言うことです。

早期発見早期治療イコール手術や抗がん剤放射線治療と言うことですが、そんなに急がなくても死が今日にでも迫ってくることは無いらしいことです。

ちょっと待てよ!と治療を考えても良いそうなのです。

近藤医師が「がん」と見なすのは、他の臓器に転移して命を奪ってしまうものを指します。

一方「がん」と診断されたとしても、そこにとどまってしまうまたは消えてしまうものは、「がんに似たがんもどき」であるという考え方です。

近藤医師の考え方では、本当の癌になったら治療方法はそう多くはない。血液のがんなどは完治が望めるし、一部のがんは延命も可能である。

しかし本当の癌になったら、むしろ治療をしない方がQOLが高いと言うことのようです。

この章では各臓器別に「無治療」の症例を上げて解説されています。

胃がん」などは以前近藤医師が週刊文春で取り上げられているので、無治療の有効性については改めて「そうなのか」と納得しました。

大腸癌は平坦ながんの方が、ポリープよりも「本物のがん」として危険な場合が多いそうです。

大腸がんが「肝臓」「肺」に転移して、手術を繰り返されたジャーナリスト「鳥越俊太郎」氏のことを思い出しました。

がんサポート情報センター「闘病記 私の生きる道」鳥越俊太郎さん
http://www.gsic.jp/survivor/sv_01/42/index.html

彼の場合は転移したわけですから、「がん」と言うことになるわけです。現在は様々なところで活躍されています。生命力免疫力が強いと言うことでしょうか。

そのほかこの章では「乳がん」「肺がん」「前立腺がん」「子宮頚がん」「子宮体がん」「腎がん」「甲状腺がん」が、それぞれの症例を上げて解説されています。

中々我々医師でないものが即理解すると言うのは難しのですが、今の西洋医学のがん治療に限界がある限り、その限界を理解しておくことがより人生に有益であることが解ります。

本文を引用すると「がんを放置・観察した場合にどうなっていくかを知ると、がん治療を受けるか否か、うけるとしてどういう治療法にするか等の判断に役立てることができます。」

このことは「がん」が発見される前、健康体の時に考えておかないと、正常な判断は到底無理なことです。

しかし現実として「まさか自分が難病になるなんて」誰も思っていないからです。そう言う意味でも近藤医師の活動は、とても意義のあることだと私は考えています。

また近藤医師は「がんは症状が出るまでは無害」とおっしゃっています。

臓器の機能を障害したり、他の臓器に転移して臓器不全にしなければ、死に至らないそうなのです。

そう言えば昨年亡くなった梨本勝さんなどは、肺がんと言われていましたがその程度はどのくらいだったのでしょうか。

産経ニュース「梨本勝さんが死去、65歳」
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/photos/110126/ent11012618290131-p10.htm

近藤医師と立花隆氏の対談でもこのことが話題に上り、筑紫哲也氏の例とも合わせ「抗がん剤による副作用の死」ではないかと言われていました。

毎日新聞「がんと闘う筑紫哲也さんに聞く」
http://mainichi.jp/select/jiken/graph/20071127/

色々と考えさせられる文章ですが、「今や二人に一人ががんになり、がん患者の三人に二人が亡くなる」と言われている現在、我々も覚悟を決めなければならない時かもしれません。

今まで広くこの話題が取り上げられてこなかった、医師の世界から一般社会の普遍的なレベルに持ってきた、近藤医師の努力は並大抵のものではありません。