リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

近藤誠医師の「がん論文」で思うこと その2

 文芸春秋新年特別号の「抗がん剤は効かない」近藤誠(慶応大学医学部講師、の新聞広告を見てビックリするとともにこれは購入せねばと思いました。

文芸春秋
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/

抗がん剤アメリカでは効果が認められていない記事を数年前に読んでいたので、公的機関ではないもののこのような記事が公開されて、日本でも遅ればせながら論争が始まり真の姿が露わにされることは良いことではないでしょうか。

8年ほど前に読んだ製薬会社のプロパー(医師などに薬を届ける社員)の覆面座談会では、当時抗がん剤と認められていた「霊芝」のことを笑いながら語っていました。

その当時の抗がん剤は今もそうであるように副作用がきつかった。医師もその酷さに困っていた。その時に目に付いたのがこの「霊芝」であった。

副作用が無いので医師も安心して処方したので、売り上げはどんどん伸び一時500億もあったそうです。

しかしその後抗がん作用は全くないとされ、保険から除外されたと言うことです。

また聴いた話では、アメリカでは「がん」が喫緊の重要な病気であるため、重篤な副作用が認められなければ「抗がん剤」として短期試験で認められるそうです。

私は鍼灸師ですががんに関する情報は、様々な形で入ってきます。書籍や雑誌テレビラジオ、セミナー参加や友人との情報交換、そして患者さんから生の声を聴けます。

このような立場で近藤医師の論文を読むと、とても納得できるのです。

また彼の書物も以前から読ませていただき、病院や大学病院の姿勢にも疑問を持っていました。

近藤医師の本には、このような文章があります。

開業医ががん患者を見つけたとします。もしそれが重症だと分かった場合、出身大学または系列の病院を紹介はしない。

なぜならそのような患者の手術をしても助からない確率が高く、その病院での治癒率が低下するので、もし紹介したら怒られるのである。

ですから切っても切らなくてもそれほど問題はないような患者ばかりを、紹介せざるを得ないのである。

もし末期の患者が入院を希望した時も、「ベットが万床で入院できません」と拒否する。2、3か月もすれば亡くなる可能性が高いからだそうです。

私の患者さんがこういう話をしてくれました。

近くに病院があります。

近所の奥さんが言うには「ねえ、あの病院に入院するとすぐ死んでしまうそうよ」

「先生違うんですよ。そこはどのような病人も受け入れてくれるのです。もう末期のがん患者さんで、他で断られた人も快く入院させてくれるの。でも近くの人はそれを知らないのよね」

我々が知らなかった医療の裏の話を、職を賭して何年も語り続けてきた医師の話には、信頼すべきと思うのです。

ガン医療を最初に告発した近藤医師(1996年) You-tube
http://www.youtube.com/watch?v=GeFZeFFK5Zc


さて、「抗がん剤は効かない」を読んでみます。

最初の衝撃は統計のインチキについてです。

私も見たことがある有名な医学雑誌「ランセット」に、日本から胃がん治療に使われている抗がん剤の生存率効果に関する統計です。

近藤医師が統計の疑問を質問すると、ランセットは論文著者に照会しました。

すると訂正が入って、薬の効果の優位性が消えたそうなのです。

様々な分野で統計は行われます。ややもすると我々は数字であらわされると、うのみにする傾向があります。

数的な処理は厳格で、そこに疑問の余地はないと刷り込まれているからです。

週刊誌で他の医師が彼のこの統計の解釈の仕方を取り上げて反論をしています。しかしグラフそのものの中身までは精査しないで、批判をしているのです。