リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

学歴無くても30万以上の収入「フリーター家を買う」を見て その4

 二宮和也が演じている武誠治は、普通の高校普通の大学を出た設定になっています。

多くの学生がそのような状況にあると思います。そして就職できないでいる。

でももし一流大学を出て勤めていても、ある日突然会社が倒産するかもしれない、今の社会はそのような環境にあります。 

1997年山一証券と言う一流企業が倒産しました。その後の社員の転職模様については、様々なメディアで紹介されて来ました。

印象に残ったシーンがありました。

人材紹介の会社がある部長を外資系会社にヘッドハンティングする場面です。喫茶店でした。

「本日はお忙しいところありがとうございました。ところでご出身は某一流国立大学ですね。」

「はい」

「その後はどのような部門を経験されたのでしょうか」

「当初から人事部門一筋でした」

「今度の会社は外資系ですが、英語はいかがでしょうか」

「英語はあまり得意ではありません」

「そうですか、本日はお忙しい中ご苦労さまでした」これで終わりです。

何の技術も資格も特技もなければ、学歴だけで生きられるのは官庁だけになっているでしょう。資格も持っているだけで食べられる時代ではなく、経験がないと役に立たなくなっています。

でも世の中には驚くような職業もあるのです。

私の住んでいる東京都府中市には、昔から続いている大和屋と言う刃物屋があります。府中伊勢丹内のフォーリスにあります。

親父さんが結構マニアックで、勿論刃物に関しては一流の品ぞろえをしているうえに、手作りナイフや今は亡き長谷川名人の玄翁(ゲンノウ)も取り揃える凝りようです。

ある日彼が言うには、「包丁研ぎをやれば月30万円には為るよ」と言うのです。「でも50万円以上は難しい。疲れてしまうから。」なのだそうです。

ビックリしました。今のご時世学歴もなくリストラもない、それで十分な収入を稼げる職業がある。

包丁研ぎなどは、昔リュックを背負ったおじさんが「傘の骨継ぎ、鍋底の穴の修理、それと包丁研ぎ」をご用聞きして回っていたのです。流しの修理屋さんで、良い職業ではありませんでした。

そんな職業が今輝きを放っているようなのです。

勿論包丁を研いでくれるところはありますが、その多くはグラインダーを使っています。それに比べて、荒砥、中砥、仕上げ砥と砥石をかえて研ぐ鋼刃の庖丁は、切れが違います。一端研いでもらったら二度と他には頼めなくなるそうです。

彼は彫刻刀の研ぎの名人でもあります。関東1円の彫刻刃の研ぎ依頼が彼のところに来るそうです。

でもやはり経験は大切です。

彼の息子たちは身近に名人がいても、親としか見ていなかったのでしょう。研ぎには興味が無かったようでした。

そこで私がある日「我々鍼灸師は治せる師匠を見つけて教えてもらわないと、一流の鍼灸師にはなれない。師匠となる人を見つけたとしても、必ずしも教えてもらうことはできない。君たちの目の前には名人と言っている人がいる。今の時代いつ交通事故などがあって死ぬかもしれない。今習わないと一生習う機会はないよ」

翌日から彼らは研ぎに励みました。

しかし世の中それほど甘いものではありません。半年過ぎたころ彼が言いました。「この前返品されてしまいました。『これ、いつもの研ぎと違います』私が研いでお父さんに確認してもらたんだけど、どうやら分かったようです」

それはどんなお客さんだったの。「それが普通の主婦で、まだ30代の前半の人でした。やはりお客さんは怖いですよ。」

技術を教えてもらってそばで見てもらっても、そう簡単には身につかないと言うことです。

でも身につけば一生ものと言うことで、それで生きていけると言うことです。

誠治がハローワーク職員に「せめて1年勤めていればなんとか言い訳できるけど、3か月じゃ単に根気が無い若者と判断されてしまいますよ。」と言うのが正解です。

職人になるには、短くても10年は必要です。でもそのあとは社会情勢に左右されない個性が持てるはずです。

鍼灸師も同様です。

和食の職人だって、煮方10年焼方10年を過ごしてやっと正式の職人に慣れたそうです。


二宮和也オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/arashi-kazunari-0617/