リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

手のひら先生の手指鍼講座 4

こんにちは、ホームページ「手のひら先生のリウマチ相談室」を運営している、手のひら先生こと長谷川和正です。「手のひら先生のリウマチ相談室ブログ」として、高麗手指鍼治療にまつわるお話をいたします。また毎日の治療については「手のひら先生の治療日誌」を作成しておりますので、こちらもよろしくお願いいたします。
気の問題が有る程度解決したとして、次は刺鍼技術の問題です。生徒の時自分ではクラスの中で下手だとは思わなかったのですが、もっとうまくなりたいと思ってセミナーにいきました。私の通った東洋鍼灸専門学校は刺鍼技術がしっかりしていると評判であったので、そのセミナーに行ったのは私が初めてとのことでした。私も最初に自己紹介が始まったところで、これは大変なところに来たと気がついたのですが、それでも10回ほどは通ったでしょうか。会費がもったいなかったからです。でもどんなつまらないセミナーでも1箇所くらいは良いところがあるもので、それをヒントに自分で磨いて、刺鍼技術はわれながら進歩したと思います。
合気道をほんの少し習ったことがあるのですが、合気道の練習って驚きますよね。先生が生徒を一人呼んで、「はい、今日はこの業をします」と言って見せてくれます。しかし一連の動きは目にも止まらぬ動きでさっぱり分かりません。「どうですか?ではもう一度やってみます」それでもわからんって。「ではやってみましょう」わからん。
 これが出来る子がいるんです。講師が聞くと日本舞踊を習っていた女の子でした。このような伝統芸は訓練でぱっと見ただけで理解できるようになっているのです。
 鍼灸の技術はそうはいきません。教えてもらわなければならないことが有ります。でも今まではそれは秘伝と言う言葉であったり、弟子への口伝であったりしたわけです。あるセミナーに参加したことがありました。講師がこのような話をしていました。「いや先生がすると効くんだが、われわれがやると効かない。そう患者さんから言われるんだ。そこでそれとなく先生の動きを見ていると、弟子が見ていないところで機械の目盛をちょっと上げているんだ。それを指摘すると、先生は「イヤー教えたはずだけど」なんて言うんだよ。」
 機械で治療する講習会のことでした。なかなか教えないのか教え切れないのか。セミナー参加するといつもそこが疑問が湧くところです。
 一方教える側の身になって考えると、「大して訓練もしないうちにその技術だけを学んだらすぐ辞めてしまう。」このような言葉を吐いていた先生もいました。しっかり基礎を学び応用も出来る程度にならないと、新たな技術を教えてもそれを使いこなせません。未熟なうちに高度なことを教えても、それだけしかやらずもし治せなかった場合「なんだこの方法では治せないじゃないか。こんな技術はだめだ」とされることが多いのです。それを恐れるので、先生は簡単に技術を教えきれないと私は思うのです。
 たまにこんな問い合わせがあります。「先生高麗手指鍼を習えませんでしょうか。私いまこういう先生のところで働いているのですが、先生は鍼立て屋学ぶところがないんです」お世話になっている先生の悪口を言われるんじゃ、先生もたまらんですね。学校にいるときもこんなことはありましたし、卒業後でも恩師の悪口を言っているのは聞いたことが何度もあります。そのやり方では治らないなら、徹底的に議論をすればすむことです。
その昔、母校の初代校長柳谷素霊は弟子たちと酒をバケツに入れて、それを酌み交わしながら夜を徹して議論したそうです。ただ東洋医学としての基礎がないと、単なる我の張り合いだけになってしまいます。
 余談ですが、この頃の酒は濃度の基準がなく、酒の品質は酒店が握っていて、いかにうまく水で薄めるかが親父の腕であったようで、バケツに酒と言ってもそれほどすごい酒豪であったわけでもなさそうです。
 秘伝を伝授するには、やはり弟子入りし時間をかけて人柄を判断し判断されて、そこで初めて基礎か教えてもらう、その準備期間は必要なのでしょう。
私としてはセミナー形式でも同じように出来ると思います。やはり期間はそれなりに必要と考えています。熟成させるには歩みもまたゆっくりと時間をかけなければなりません