リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

第19回韓日学術大会に思う その3

こんにちは、ホームページ「手のひら先生のリウマチ相談室」を運営している、手のひら先生こと長谷川和正です。「手のひら先生のリウマチ相談室ブログ」として、高麗手指鍼治療にまつわるお話をいたします。また毎日の治療については「手のひら先生の治療日誌」を作成しておりますので、こちらもよろしくお願いいたします。
1989年発行の「人麻呂の暗号」藤村由加著を覚えていらっしゃいますか?万葉集朝鮮語で読み解くと、その真の姿が現れてくると言う衝撃的な内容でした。それは今まで学校で習ったこととはまったく違う、政治的な内容を含んだものでした。新説ではあるものの読むすべてが納得できる内容でした。丁度鍼灸学校に通い始める頃に出た本でした。朝鮮半島との結びつきは頭では理解できても現実感が薄かったところに、ガツーンと殴られたような衝撃を受けたものでした。
 顔つきも似ている、文化的にも歴史的に交流がある、それも底流にはその深さがとてつもないものであったことが驚きでした。永らく天皇陵墓の発掘が許可されなかったのは、その深い結びつきが分かってしまうからだと、どこからともなく聞かされていました。明日香村の壁画などからも朝鮮と結びつきの深さは理解でき、つい最近宮内庁もその昔は朝鮮から后を迎えたことを認めた経緯もあります。
鍼灸を学ぶことはその国の文化を学ぶことだと私は理解しています。これはまた最低の常識とも考えています。特に注意すべきことは日本が占領していた事実です。これは韓流ブームがあったとしても、決して忘れてはならないことです。あるとき韓国から先生が講義に来てくれました。その昼食会のとき通訳をしてくださった先生にある女性が質問しました。「先生は日本語がお上手ですが、どこで習われたのですか?」これが悪い質問と分かりますか?当然ですよね。70歳ぐらいの方たちは、日本語を強制的に習わされた結果自由に日本語を操れるわけです。自主的に習ったわけではないことを、知らないではすむものではありません。先生はとても返答に困っていました。もちろん座の空気は一瞬寒々しい感じになったことはいうまでもありません。
 韓流ブームで盛り上がったこの空気を良い方向に持っていくのは、韓国より日本人のより深い歴史認識が不可欠であると考えます。
韓国内の鍼灸は高麗手指鍼だけではありません。伝統的な鍼も行われていますが、それほどの成果が上がっているようなことも聞こえてきません。ただし歴史的にその理論的および技術が低かったかと言うとそのようなことはなく、逆に中国や日本で完成していなかった経絡理論がすでに500年も前に出来上がっていたのです。日本で経絡治療のヒントは韓国で与えられた可能性も言われています。
 理論として完成していた鍼がそれほどの発展を見ないのは、やはり歴史的な背景があるのでしょうか。
以前九州の長野潔先生の初めてのセミナーに、多くの韓国人鍼灸師が来られていました。その後鍼灸雑誌にその後の「長野式」のすばらしさの報告が何回も載っていました。其の時かの国の伝統的な鍼も苦戦してるなと理解したものです。