リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

お灸の話 2

こんにちは、ホームページ「手のひら先生のリウマチ相談室」を運営している、手のひら先生こと長谷川和正です。「手のひら先生のリウマチ相談室ブログ」として、高麗手指鍼治療にまつわるお話をいたします。また毎日の治療については「手のひら先生の治療日誌」を作成しておりますので、こちらもよろしくお願いいたします。
昭和47年に亡くなった深谷伊三郎師は、最後の偉大な灸師といえるでしょう。つい最近知ったことですが、立川流の落語家立川志らくが、この先生のお孫さんと知りました。といっても志らくの落語は聞いたことがないのです。ある日NHKのラジオ放送を聴いていると彼が出演していました。何気に話を聞いていると、お灸の話になっていきました。私は疲れたりするとお灸に行くのです。すると先生が「若いのにお灸をするとは、それは珍しいね」「ええ、おじいさんが良くお灸をしてくれたものですから」「どちらの先生でしょうか?」「ええ、深谷伊三郎といいます」「それはそれは、先生のお孫さんでしたか、それは失礼いたしました」と言うことになったそうです。師は早稲田大学で弁護士を目指していたのですが、結核になってそれをお灸で救われたので、この世界に入って来たそうです。昔は結核が不治の病と言われ、亡くなられた方も多くいらっしゃいました。これをお灸で救われた方たちの中で、鍼灸師になられた方たちがいました。
深谷師のもっとも有名と思われる著書に「お灸で病気を治した話があります」東京都鍼灸師会の技術部長であられた師は、灸師のレベルアップを図るため、タブロイド版の会報紙を発行していました。それをまとめたのが、13巻からなるものでした。私が鍼灸学校にいたとき、恩師井上良太先生が漏らした言葉に「色々な鍼灸が、色々なことをを言っているが、ここからアイデアをとっているんだ」がありました。その後「あの先生は奥が深い。何を聞いても答えてくれるし、治療法もどこから学んだのか分からない」と言う言葉を聴いたことがありましたが、この「お灸で病気を治した話」を読んでいたら、「なーんだ、ここからアイデアをかっぱらったのか!」と言うことが分かりました。
 この目的は当時レベルの低かった灸師に、どうにかして解剖学や生理学、病理学を取り入れながら、物語風に話をしていくので、一般の人が読んでもとても楽しくなるもので分かりやすいものです。
私が先生の偉いと思うのは、とても謙虚で民間療法的に使われたつぼでも、効果があれば患者から教えてもらってすぐ試していることです。それを治験して、それこそプロの技術として完成していくのです。見習いたいところです。