リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

鍼灸学校に入学する 4

こんにちは、ホームページ「手のひら先生のリウマチ相談室」を運営している、手のひら先生こと長谷川和正です。「リウマチ相談室ブログ〜手のひら先生の独り言〜」として、高麗手指鍼治療にまつわるお話をいたします。また毎日の治療については「手のひら先生の治療日誌」を作成しておりますので、こちらもよろしくお願いいたします。
鍼灸学校に入ってから、この世界をまったく知らないことに気づきました。そこで私が最初に行なったのは、東洋医学鍼灸専門書を扱っている書店めぐりでした。「医道の日本」
「たにぐち書店」「いざわ書林」「三景書店」「井上書店」などかなりの頻度で通いました。
それぞれの書店ではそれぞれ特徴ある本揃えがありました。まず出版書籍からこの世界を知ろうと考えたのです。
 次に鍼を手作りしているメーカーに行きました。目白の青木 荻窪の前田 浅草の神戸源蔵 にいけば、手作りの鍼とはこのような家内製手工業で製作しているのかと理解できました。
 今から考えると本当にこの世界を知りたいなら、実際営業している鍼灸院マッサージ治療院を見学でもさせてもらうのが最も良いと思います。もし私にこれが出来る余裕や伝手があったなら、おそらく開業はしなかったかも知れません。厳しい世界を垣間見たなら、おそらく出来そうもないと熱くなっていた頭が冷やされていたかも知れません。
 頭で描く自分の開業姿は、実際のものとはかけ離れているに違いありません。マッサージの肉体的つらさは授業でも分かっても、営業で行うものとは別物です。金額はどのようでも、時間内に満足してもらいまた来てもらうための技術は、一丁一石には出来上がらないものです。東洋鍼灸の先生方はこのことをいつも仰っていたのですが、馬の耳に念仏だったのでしょう。当時の私にとっては。
 看板を上げたら即患者が来る医者や整骨院とは違って、自費診療の鍼灸院が固定客を獲得するのには、口コミで3年は要すると今までは言われていました。今は6年だそうです。それも鍼は病気が治るので、患者数は不安定です。マッサージは固定客がつけば安定します。これらのことは実際の現場にいなければ、実感として理解できないものです。
 繰り返しますが、できれば鍼灸学校受験前に、何かしら伝手をたどってでも実際の世界を垣間見ることが本当に大切なことかも知れません。
 何事もそうですが他人の芝生は青く見えるとか、他人の仕事は楽でよく見えがちです。
こういう私はそれを知らないで突っ走ってしまい、一時はそれこそ地獄のような世界にいました。
たまにアドバイスを求めに来られる方があります。私は経験からこの世界の現実を描いてあげます。全部の方がすぐあきらめます。どのような世界でも一人前になるには、10年の年月が必要です。鍼灸は文化ですから、そこに教えてもらうという人間関係の文化が入ってきます。今の世界で人間関係を上手に構築できない人間が、別世界で上手に生きようと思ってもそれは無理です。
 3年と言う期間は中学や高校生活に置き換えても短い期間です。その中で充実し、実りのあるものにしていくために、どのような努力をしなければならないか、人それぞれでしょうが、わたしが行なったことを次回お話いたしましょう。