リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

鍼灸学校に入学する 5

こんにちは、ホームページ「手のひら先生のリウマチ相談室」を運営している、手のひら先生こと長谷川和正です。「リウマチ相談室ブログ〜手のひら先生の独り言〜」として、高麗手指鍼治療にまつわるお話をいたします。また毎日の治療については「手のひら先生の治療日誌」を作成しておりますので、こちらもよろしくお願いいたします。
日経新聞のスポーツ欄に、豊田泰光氏のコラムがあります。スポーツ選手の書くものに、参考になるものはほとんどないのですが、氏のコラムは毎回人生の先達としての文章として拝読しています。
先日のコラムでは「よく先輩の技術を見て盗めといわれるが、あれは盗むのではなく自分の中にある素質を、見て掘り起こすのだ」と言うような趣旨でした。昔ヤクルトの監督だったとき、選手を殴っていた人とは思えないような含蓄ある言葉でした。(笑)
 私は入学してすぐ漠然とではありましたが、自分が成るまた理想とする鍼灸師の姿は描いていました。ですから3年間の中で向かう方向にぶれはなかったように思います。そうすると、何気なく先生たちが発する言葉の中に、自分にとってダイヤモンドの原石があるかも知れないのです。磨き上げるのは自分ですが。
 私にとっての目標とする鍼灸師は、昔ながらの手を使って行なう鍼灸師です。当たり前じゃないかと思うでしょう。でもこれが一番強力なのです。後輩の中に機械を使って患者さんに、あなたの経絡はこのようなところがこの数字になっているので弱っています。それをまた機械を使って治すのが目標の治療です。こう言っていた生徒がいました。でももしそれが効果があったとして、隣の医者が同じことをしたら、患者さんはどちらを選択するでしょうか。目に見えているでしょう。このことは数年経って、あるセミナー参加をして同室した部屋の鍼灸師がこぼしているのを聞いて再認識いたしました。「隣の病院では、週何回か町から名前の通った鍼灸師を呼んで、治療を行なっている。参ってしまうよ。」それは同じような機械を使った治療だったからです。あわててその先生のオーソドックスな治療法をならいに来たというわけです。今の整骨院みたいな、どこに言ってもほぼ同じ治療法だったら、新しい整骨院に患者は流れていくし、隣に整形外科が出来たら同じ内容でも、信頼感から医者のほうに患者は奪われます。
 目の前の鍼灸師だけでなく、歴史上でも良い自分の理想とする鍼灸師像を早く描きだしましょう。
 いくらすばらしい先生を見つけて師事したとしても、やがてはそれを乗越えたり、また自分独自のものが出てくるのだから、どっぷりとつかってしまうのではなく、ほんの少しは覚めた目や批判精神は持ちましょう。
 この世界様々なことがあり、社会的にはたいしたことのない奴でも、何か勘違いでもしているのか偉くなってしまって、従業員を奴隷のようにしているのを多々見たことがあります。世界は広いので、このようなところはとっとと見切りをつけて、理想の師を見つけましょう。
 前にも書いたのですが、その理想は難病をどんどん治すような鍼灸師であることは必要なく、お年寄りの介護を中心であったり、美容にかかわる鍼灸であってもかまわないわけです。自分独自の治療、自分が情熱を傾けられる方向を目指せばかまいません。
 注意するのは、単なる金儲けばかりを考えていると失敗することになります。また難しいのですが、「食えればいい」程度に考えていると、食えなくなってしまうのが今の社会です。まずレベルの高い技術を貪欲に求めましょう。お金は青の後についてきます。これも書いたと思いますがある方が言ってくれた言葉を最後に記します。「すばらしい技術を持っていれば、たとえ社会の片隅にいたとしても、今の情報社会はそれをほおって置かない」