リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

保険と鍼灸1

今日はホームページ「手のひら先生のリウマチ相談室」を運営している、手のひら先生こと長谷川和正です。「リウマチ相談室ブログ」として、高麗手指鍼治療にまつわるお話をいたします。
田村裕著「ホームレス中学生」を読んでいます。人志松本の「すべらない話」が大変面白く、DVD3巻を購入したその中に麒麟の田村が自分の身の上話を、面白おかしくしていたのが印象的でした。その話は衝撃的で「エッッ、この日本で中学生が一人で生きていけるの?生活保護はどうしたのか?」頭の中ではこのような考えが、ぐるぐると渦巻いていました。
鍼灸師の世界に入る前、私は市役所で生活保護ケースワーカーをしていましたので、生活がその後どうなって行ったのか大変興味が有りました。
鍼灸治療を生活保護者が受けられるのか?と言うと受けられます。私の受け持ちではなかったのですが、確かにそのようなケースが有りました。しかし治療を受けるには手続きが大変だったように思います。その方は保護を受ける前から治療を受けており、その治療で身体をやっと維持していたのが、受給するようになっても受けたいと言う希望でした。
鍼灸師の方も相当な負担だったように思います。様々な書類提出があったと思います。また保険請求と同じですから、当然支給額はほかの治療費より低くなります。その鍼灸師の方も、出来うる限り治療をしてあげたいという思いが有ったようで、いかにこの方に鍼灸が必要なものか書類にして提出することがあったように思います。
鍼灸も治療なので西洋医学と同じように考えるべきなのですが、生活保護者の鍼灸となると何故だか分かりませんが「贅沢」と言う雰囲気があったのも否めません。私はこのころ鍼灸学校に通っていた頃ですが、なぜかこの組織に入っていると、通常の流れの中からはみ出しているものには、違和感を感じてしまうのです。
現在日本では西洋医学が正式の医学と言う位置を占めています。これはすべての病気が治せると言う意味では、決して無いことは皆さんも理解できることと思います。ですから保険制度の中に取り入れられているんです。もうひとつ整骨院で知られた、柔道整復師の制度が有ります。
何故西洋医学以外の柔道整復が保険の対象になっているか?と言う問題はまだ水面下ではくすぶっていると聞いています。私の聞いた限りで又聞きですが「東京オリンピックの時、お国のためにお家芸としての柔道でなんとしても金メダルをと、柔道家たちは頑張った。しかしオリンピックが終了してみると、自分たちの働く場が無い」と言うことで政治的な働きをかけ、そこで従来骨接ぎと言われた人たちが保険適用者となったと言うわけです。
それまでの骨接ぎの中では技術が勝負だったので、まったくの部外者であった私にもすばらしい骨接ぎの先生の名前を聞いたことが有りました。例えばジャイアンツの吉田接骨院の先生は、前日にデッドボールを受け肋骨にひびが入って、連続出場を危ぶまれていた王選手を、たった一本のテープで治療しその記録を守った、と言う新聞記事を読んだ記憶が今も有ります。その後ジャイアンツから契約を切られたという記事も読んだので印象が深く記憶に残っているのでしょうが。
鍼灸の保険適用は確かに認められています。しかしそのハードルは高く設定されています。まずその適用範囲は肩こりや腰痛です。リウマチもうたって有りますが、あくまでその痛みを軽減すると言うのが適用目的です。そして重要なのが、医師の鍼灸をやって良いという同意書をもらわないと受けられないのです。でもですよこの同意書の意味は「医者が私はこの病気を治せませんので、鍼治療に任せます」と言う意味がこめられているのです。あなたがその立場になって考えてみれば、そんな書類を書くわけ無いことがお分かりになると思います。整骨院は最初からそのような必要が有りません。
保険適用の中には、西洋医学整骨院が組み込まれているのです。鍼灸ははじかれているのです。
「手のひら先生のリウマチ相談室」http://www.d2.dion.ne.jp/~kouraiha/