リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

耳針ダイエットブーム

耳鍼ダイエットが効果的と、うわさですか、それとも常識ですか。本当に効きますか?私は分かりません。しかしこのブームのきっかけになった、その裏話を聞いたことがあります。でもこれ又聴きですよ。内緒で聞いたのですから、その人たちにつげ口しないでください。私の身が危ないかもしれないので。
鍼灸雑誌に昨年ですが静岡県の医師が、耳鍼を使って肥満専門治療院を開設していた記事が載りました。此処では3ヶ月で5kgを減量目標としているとのことで、ごく普通のダイエットと同じと思いました。またこれが本来考えられている、正統な減量過程なのでしょう。この記事がきっかけで私も耳鍼を研究し始めました。といってもそれまでに、中国式の耳鍼は試していました。
耳鍼を考えたのはフランス人の P.ノジェ博士でした。ご存知でしたか。これがきっかけで中国はすぐ後追いで研究し、耳ツボ「耳針穴位表示図」を表しています。しかしノジェ博士の研究は、一歩も二歩も踏み込んだ研究が行われ、耳の形の中に脳をイメージするまでになっており、位相またはフェーズ1、2として、同一箇所であっても考え方によって、ツボが持つ意味がまったく異なってしまうことを示してくれています。これで治療の幅が大きく変わってくるのです。
残念なことにわが国では、このノジェ博士の業績を歪んで紹介された悲劇があります。そこで又聞きの事です。『ある人が本を出版したくて本屋を尋ねた。本を出して欲しい』いわゆる丸投げの自費出版です。本屋さんも困ってお抱えのゴーストライターを呼んで、本を書くように伝えたそうです。ライターは困って、ひとまず図書館に行ったそうです。素人同然の分野ですから、まず何かないかと午前中は本を探したそうです。そこで3冊ぐらいめぼしいものを探し読んで、これに決めたとしたのが「耳針」だったそうです。決めたら早い、後はすいすい午後には一気に書き上げたそうです。出版するとこれが大ブームになったそうです。
耳針は高麗手指鍼のように、中国2千年の鍼灸歴史にはなかった画期的なものです。しかしこの紹介では誇大宣伝であったでしょうし、本来医学として紹介されたなら、エステでホイ、見たいな事にはならなかったはずです。いまはアメリカやイギリスの医師たちが、ノジェ博士のその後の研究発展を引き継いでいます。この中ではさまざまな病気を扱っています。また成果も上げているようです。本来の意思を正しく継いでいれば、歪んだ伝えられ方はされなかったはずです。
最近フランスからメールを頂きました。フランス人と結婚された日本人女性でした。彼女は医師に耳針を処方され、尿道炎ほかを治してもらったそうで、耳針に絶対の信頼を寄せているようでした。このように正しく使えば、正しい答えが返ってくる。日本での使われ方が、いかに貧相であったかお分かりになりますか。
私が耳針に惹かれるのは、耳を脳神経とみなして捉えているところです。かつ脳神経支配が右半身は左の脳、左半身は右脳のように交差して考えなくて良く、右の刺激は右脳、左耳は左脳というように、経絡と同じような考えで処置できるところにもあるのです。
中国とアメリカ人の考え方の差というものを知らされたことが、この耳針のツボを研究していて気が付いたことがあります。それは西洋人はやはりあいまいなことはそのままにせず、突き詰めて置くということです。中国の原文を読んだわけではないのですが、中国式のツボには目に関するツボが三つもあります。手塚治虫の「三つ目がとおる」じゃあるましと思って、Terry Oleson 著 Auriculoterapy Manual: Chinese and Western System of Ear Acupuncture 2nd Edition を見るとこれが区別されています。中国式にはこの区別がないのですね。
韓国でも経済発展がなされ、やはりダイエットには関心が向いており、高麗手指鍼によるダイエット研究も進んでいるようです。私はあまり興味は無いのです。それは東洋鍼灸専門学校の先生たちが「やせたいと言って来る患者の多くが、本当に太ってなどいない。君は太ってなどいないよといってやるが、彼女たちは聞かないでとにかくやせたいと言い張るんだ」とおっしゃっていて、鍼灸は本来病気を治す手段で、過度のことをするのは、鍼灸医学に対する冒涜と教えていたんじゃないかと思っています。
若い子がやせたいと思うのは、言葉を変えてみれば「男にもてたいということじゃないでしょうか」そうはいえないので、何号の服を着たいからなどと言っているだけなんだと思う。でも男はそれぞれいろいろな体形が好きなんだよね。それを教えてくれたのが、永六輔氏でした。今はなき銀座ミュージックホール、まストリップ劇場でしたが、ここの話になって「映画館や劇場に行くだろう、すると観客はみんなヒロイン・ヒーローに視線が集中するんだ。でも此処はみんな違うんだね。」これを聞いた後、はとバス都内観光ツアーなるものに、忘年会がてら行ったときに、此処がコースに入っていたんだ。そうかチャンスと思い親父の目線を見ると、行っていたとおり目線は様々でした。踊り子さんは、背が高くスリムでボイン、小柄で転がった方が早そうな体、短足、デブ、様々な体形でした。デブ専なんて言葉がある位なんだから、あきらめずダイエットなど考えず、自分の体形が好きな男を捜せば良いんだよ。第一太っているぐらいのほうが長生きするんだぜ。
栄養を皮下脂肪にためると言うのは、人間が発生して40万年の中で培ってきた生理的なメカニズムである。いつも食料を得られるわけではなく、少しでも多く食べ物を得たら過食して、それを皮下脂肪として貯蔵しておく。人間の叡智である。今のように食料が先進国だけであるが、豊富に供給されるようになったのは、ここ3、40年ぐらいのことだそうである。つい最近まで日本の食糧危機が叫ばれていたのだから、それを肝に銘じていれば、安易なダイエットに走ることは考えられない。なんてことはないか、本人にしてみれば。何しろデブだと思い込んじまっているからね。
それでもダイエットを考えているなら、ごく最近出た「いつまでもデブと思うなよ」新潮新書 岡田斗司夫 が楽そうなので参考にしたら良いでしょう。