リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

癒着について

手術後腸が癒着するのをご存知でしょうか?これを治せるのは、どうやら「手のひら先生の高麗手指鍼だけ」のようです。患者さんが処方されている薬に、漢方薬の大建中湯があります。しかしこれが効いている方には出会ってません。もっとも治らないから当院に来られるわけですが。
手術すると必ずと言っていいほど癒着する患者がいて苦しむが、西洋医学では対処が難しいようです。最近では手術終了間際に、トレハロースを処置すると防げると言う記事が新聞掲載されていました。
腸は筋肉で出来ています。その筋肉は薄い粘膜で覆われています。この粘膜に血液が何らかの原因で正常に流れなくなって、いわば腐り始めお互いがくっつき始めて動きを阻害します。私は感覚として、鳥のささ身をイメージして患者さんにお話します。あのねっとりかんが、癒着のイメージにぴったりと思われるからです。腸は消化吸収しながら蠕動運動を繰り返します。そのとき運動が制限されているので痛みが起こるのです。病院へ行っても、これに対処する根本治療法はありません。患者が痛みを訴えた場合、鎮痛剤を出す、次に点滴の中に鎮痛剤と腸の動きを抑える薬を入れます。病院によっては剥離手術を勧めるところがあるようですが、半年足らずで再癒着することがほとんどと聞きます。原因となったものを治さず、対症療法だけなので繰り返すのです。ですから患者は不満で苦しいのですが、手術を勧めない病院の方が良い病院と言えるのです。でもびっくりしたことがあります。日本最高峰の病院と思われているところでは、術後3ヶ月目に癒着が起こって行ったらすぐ開腹したそうです。おお怖わ。皆さん気をつけましょうね。
鍼灸医学ではどのように考えるのでしょうか。例えばおなかにメスを入れたとします。お腹には多くの気の流れ道である経絡が通っています。これを切ってしまうので、気が此処で滞ってしまうと考えます。気が動けば血も動くという、鍼灸医学での「公理」があるので、切断されれば気も血も滞ります。これが癒着を引き起こす元凶なのです。
癒着はその元凶が、何ヶ月まえでも数十年前でもあっても起こりえる、厄介なものです。そして初めはその痛みの原因が特定できない難しさがあります。もっとも最終的には開腹してみないとMRIでも判断できない、何ともいえぬ厄介なものではありますが。
症例1、「イテテテ、胃がんで胃を切り取ってしまったら、お腹が痛くなって何も食べられなくなってしまった。医者に言っても何もやってくれないので、転院したけど同じだった。どうにかしてくれと言う思いで治療に来られて、10回ぐらいでうそのように治ってしまった」この症例が最初の治験例でした。
症例 2 病院では癒着といわれた。38年前の盲腸手術しか思い当たることがない。しかし痛い。今まで行っていた病院で、医者にいろいろなことを言ったので「もう入るしかないですねみたいな、犯罪者みたいに言われてしまった」。次に近くの医者に行ったら、「お腹を触ってカチカチなのを見て、これはもう何年も生きられないようなことを言うんだ」何回か鍼治療をしてお腹が柔らかくなってきた。それと伴に症状も和らいできたので、件の医者に行って「どうです」「やわらかくなっているね」「いや、鍼の先生にかかったらこうなったんですよ。先生も鍼の先生のホームページを見て研究してくださいよと言ってやりました。」「それからこの医者、町で見かけるとこそこそ逃げだすんですよ。」
手術と言うのは良い悪いの議論は別にして、必ずこのような後遺症と言ってよい物が出る危険性は、その中に常にはらんでいます。それを修復するのは自ら持っている、体の治癒力しかありません。そのときにこそ東洋医学的哲学が機能し始めるのです。
ところで「癒着」と検索すると、「癒着と言う職業」「官民癒着」などが出てきます。最近は産婦人科医の手術失敗例を取り上げるページが出ていますが、ちょっと前は談合の類がこの言葉の占める主要な意味でした」どちらも腐ってくっついていやなやつです。