リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

鍼灸師貧乏物語 2

こんにちは、ホームページ「手のひら先生のリウマチ相談室」を運営している、手のひら先生こと長谷川和正です。「リウマチ相談室ブログ〜手のひら先生の独り言〜」として、高麗手指鍼治療にまつわるお話をいたします。また毎日の治療については「手のひら先生の治療日誌」を作成しておりますので、こちらもよろしくお願いいたします。

先生方が「君の職業は?」と言う質問に「地方公務員をしています」と答えると、「それじゃ絶対仕事はやめちゃ駄目」と言われました。其の時は「なんであんたが飯を食えるのに、俺が食えないと言うんだ」と心の中で反発してました。

ところがこれは正解なのです。どちらが楽かと言ったら、圧倒的に前者の方が安定していて楽です。もし公務員でなかったら、または知り合いでもいて、土日にでもこの世界をかいまでも見ていたら、この世界には飛び込まなかったはずです。

その意味では「説得する」ということが、どのようなことでも、どのような世界でもその技術も含めて、大変なことだとも今になっては感じます。「鍼灸師になる」と言ったとき、親があわてて四方八方手を尽くし、説得してくれる人を探し回ったのです。東大を出た教師、仕事場の上司、鍼灸学校の担任などなど。結局誰も私を説得できませんでした。

今となってはそれがなくて良かったとは言えるのですが、それはあくまでも結果論です。学校へ通うのは良い、しかし仕事となるとかなりきつい世界です。後戻りが出来ない年齢ならなおさらです。でも後戻りできる資格などをもし持っている場合、それは前に進むのではなく元に戻ってしまう可能性は、これもまた大となってしまいます。

マッサージの資格でもあって若ければ、まずマッサージを行ないながら、どこか良い先生のところを見学させてもらう、いわゆる弟子入りがかなうかも知れません。従業員になってそこで技術を習得しようとすることは、あまり勧められません。なぜなら技術をすべて教えたら、やっと一人前に働いてもらおうと思っていたのに、とっとと止めてしまうのが今の従業員ですから。お金を払って一人前に育ててくれるお人好しは、この世界にはどこにもいないと言うことです。

そこで流行っているのが、セミナーです。または少人数の塾のような形式です。でもそこでは実際の患者を診るわけではないので、細かい実技までは習得できません。そこで今は週に1回程度先生の元に通い、それこそ拭き掃除から鍼を抜いたり、レジをしたりするうちに人間性まで見た上で、様々な実技とその時々の指導を受ける、弟子入りが主流になっているのです。

しかしこれも問題があります。自分の求めている技術をもった先生が、どこにいらっしゃるかまったく当がないことです。自分で探さなければなりません。運よく見つけたりしても、その先生が受け入れてくれないとなりません。いくら技術にすぐれていても、流行っていないというのがこの世界では一般的なので、この面からも難しい面があります。

本を何冊も出版していても、それを真似してもまったく効果が出せない、そのような鍼灸師も過去にはいました。先生をしたい先生もいらっしゃいました。技術はすばらしくとも、まったくそれを伝えられないものである、感じると表現するしかないものもあります。スポーツのように、言葉に置き換えられないとか、それを表現することが出来ない場合も様々あり、それを受け止められるだけの心と頭の柔軟性が、弟子にもあるかという問題もあります。

この世界はなかなか厄介なものなのです。