リウマチ相談室のブログ~手のひら先生の独り言~

手のひら先生が鍼治療を通して思う、つれづれなるよしなしごとをお話します

鍼灸師貧乏物語 1

こんにちは、ホームページ「手のひら先生のリウマチ相談室」を運営している、手のひら先生こと長谷川和正です。「リウマチ相談室ブログ〜手のひら先生の独り言〜」として、高麗手指鍼治療にまつわるお話をいたします。また毎日の治療については「手のひら先生の治療日誌」を作成しておりますので、こちらもよろしくお願いいたします。

最近ある鍼灸関連のQ&Aのサイトを見ていましたら、ほんの2、3年前と変化が現れてちょっとびっくりしています。それは「鍼灸師になりたいのですが?」と言う質問に対し「鍼灸師は儲かる仕事ではありません」と言う答えが見られたのです。

前でしたら試験の準備とか、卒業後の勉強方法とか、卒業後の進路などそのような質問と、それに明るい未来がありそうな答えがあるだけでした。それがこの数年間で劇的に変化したということでしょうか。

おそらくこの変化は、規制緩和による学校の増加によるものと考えられます。以前に比べれば2から3倍の卒業生が毎年排出されていく訳ですから、それほど広いわけでないマーケットに、過剰感がでるのは目に見えています。歯科医師が過剰になって、廃業が続いていることと当に重なる事態です。

ただこの世界が食べていける世界か?と言えば、今も昔も食べていくのが大変なことに何ら変わりはないのです。私が通った東洋鍼灸専門学校は、柳谷素霊と言う初代の校長が有名で、その最後の弟子と自他共に認める先生でさえも、授業中に「鍼だけで食べるのは大変だ」とおっしゃっていました。

私が仕事をしながら通い始めたときも、「定年後にしようかな」と言う程度でした。それでも入学試験を受けると言ったあと、私の親には大反対されました。「学校に行くなら殺してやる、貧乏になってしまう」と言う剣幕でした。

入学してみると、先生たちは何故こんなに鍼灸学校に入って来るのかと、訝るような質問が生徒に投げかけられました。この世界は昔から「盲人」がする仕事と、社会では低い地位に見られていたのです。先生たちが授業中に話してくれた中に「親戚と縁を切られた」とか「鍼は許すけど、あんまは絶対許さない」と親に言われたなどがあります。それほどの決意を持って飛び込まれた先生たちは、その当時の学生が何故過酷なこの世界に飛び込んでくるのか、不思議に見えていたのでしょう。

目が見えるのに盲人がする仕事をやる奴はろくでもない奴、こういうレッテルが長い間張られ続けているのです。今なら60代後半からあとの世代には、このような思いが長い間しみこんでいるはずです。